サウンドノベルは、読むだけでは終わらない
ここでいうホラーサウンドノベルは、文章を読み、音を聴き、場面を調べ、選択肢を選びながら進む物語ゲームです。操作は複雑でなくても、プレイヤーが「次に読む」「調べる」「選ぶ」を決めることで、受け身の読書とは違う時間が生まれます。
本作のような短編では、限られた時間を黄昏の校舎とひとつの感情へ集中させることで、音や残された文章の印象をつなぎやすくしています。長い説明で世界全体を埋めるのではなく、ひとつの音、残された紙、同じ場所の見え方の変化から、読者が空白を補います。
音・文章・選択が担う役割
- 音
- 見えない気配や、場面の変化を伝える
- 文章
- 画面にない記憶や視線を置く
- 探索
- プレイヤー自身の順序で手がかりを読む
- 選択
- 主人公の行動と結末への距離を変える
音は、単に雰囲気を足すBGMとは限りません。静けさ、反復する音、音のない瞬間も、プレイヤーが画面の外側を想像するための材料になります。文章も同じで、すべてを説明するより、読者がつなぎたくなる断片を残すことで、プレイ中の観測が物語の一部になります。
インタラクティブな物語として見る
2024年のケーススタディは、Supermassive Gamesのインタラクティブなホラー作品を、物語世界、キャラクター、感情、ナラティブ・インターフェース、マイクロナラティブなどの要素から分析しています。プレイヤーの行動に反応するインタラクティブな物語を、これらの要素から捉えるための枠組みです。
この研究はSupermassive Gamesの作品を対象にしたケーススタディであり、本作の再プレイ動機を測定したものではありません。本作については、4つの結末と到達エンディング一覧があるため、別の選択や部屋を試した結果を自分で確かめられます。これは本作の実装から確認できる仕様の説明です。
『黄昏の君へ』の短編設計
『黄昏の君へ ― 黒い花の咲く校舎』は、ダウンロード不要でブラウザから始められる短編ホラーサウンドノベルです。夏休み前の黄昏の校舎を歩き、下駄箱、教室、音楽室、保健室、図書室、放送室に残されたものを調べます。見つけられる欠片は7つ。最後の選択と、それまでの行動が4つの結末へつながります。
本編には、文字速度の変更、音のON/OFF、欠片一覧、到達エンディング一覧があります。最初のプレイでは物語を読み、二周目以降に別の部屋や選択を試すと、同じ校舎の別の意味が見えてきます。
参考資料
- Pratama et al., “Interactive Horror Story and the Narratives Implementation: Case Study on Interactive Story Games Developed by Supermassive Games”(Journal of Games, Game Art and Gamification 9(2), 2024)
研究は作品の構造を説明するための補助資料です。本作のプレイ人数、評価、効果を外部研究から推定していません。